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特集−医療事故対策−

医療安全管理委員会の発足によせて
宏仁会小川病院 理事長 北川 宏

医療安全管理体制
宏仁会小川病院 事務長 徳竹 勇

院内安全対策委員会発足にあたって
―特にリスクマネージメント部会の重要性について―
宏仁会小川病院 院長 吉田 哲

ちょっとひとこと
基本が大切
宏仁会小川病院 用度課 小松崎 満

接遇について
宏仁会小川病院 病棟看護師 中里 留美子

水の記憶
宏仁会小川病院 医療情報部 石井 浩美

日本睡眠学会第27回定期学術集会に出席して
宏仁会小川病院 透析技士主任 藤原 学

職場紹介(医局・検査)

研修会・勉強会のおしらせ

人事往来

外来担当表

編集後記




医療安全管理委員会の発足によせて

◇宏仁会小川病院 理事長 北川 宏

医療安全管理委員会(以下委員会)発足に就いて投稿を検討中に、東京女子医大2医師の逮捕のニュースが報ぜられた。医療界にとってこの事件は、これまでとは異なった極めて稀な衝撃的な展開となった。

医師逮捕が異例といわれる背景としては、医療事故は確証が得られにくいという一面 があるからである。その理由として医療現場の密室性、独特の医療閉鎖社会を形成している事等があげられている。また、古くから権威主義的な医療の専門性や、法制的にも国から保護された牙城としての一面 もあり、事件発生から立件逮捕迄には至らない事が多かったのである。

然し時代は確実に変っていた。今回これを突き動かしたのは内部告発であった。医療機器である人工心肺装置の操作ミスにより患者が死亡し、そのうえ患者家族への対応も不備であった。更にカルテ記録の書き換え等が告発される根拠となった。こうして女子医大にとって医師逮捕という異常事態を迎えたのである。

我々医療法人が、医療事故を防止し、適切な医療を確立するため、管理規程をつくり委員会活動を開始しているこの時期にこのような事件の報道は、我々にとっては対岸の火事ではない。

この事件を我々が進めている管理規程と照らし合わせながら検討してみる。

今回「こうじん7号」がとりあげた特集号は委員会の「防止のための啓発・教育・広報」に該当する活動の一環である。規程の第9条が今日の話題と関連する。即ち、第9条では業務上患者への医療、看護等の実施、医療機器の取扱いなどに細心の注意を払うよう喚起されている。また、我々のリスクマネージメントには、患者家族に対しては誠心誠意の対応を為し、その前提として事故経過の記録は客観的かつ正確に記載されるよう示されている。以上の基本を守っていなかったことが記録偽造(改ざん)の疑いから逮捕への流れとなったように思う。

この事件と異なるが、最近岩手県内で人工呼吸器の管がはずれ、その結果患者が死亡した例が報道された。我々も日常的に同じようなことに遭遇し得る医療環境の中で働いている。すなわち、人工腎臓装置の血液回路および透析液回路に存在する数多くの外れる事もあり得る接続個所と隣り合わせで業務をおこなっているのである。油断をすると透析医療でも同じようなことが起こり得る。ちょっとしたミスによって患者を死亡させるような事態ともなれば、業務上過失による致死として司法の問題に移るのである。

個人の心の緩み、また、院内の円滑なシステムの機能不足、さらに人手不足から来る人員配置不備などが、事故報告書に毎回指摘されている。

職員各位が、多くの医療事故報告を他山の石として学び、医療事故の予防対策に関する知識を豊富にし、患者さんのために全力で質の高い診療を維持しさらに向上させることを切望するものである。

平成14年6月30日



医療安全管理体制

◇宏仁会小川病院 事務長 徳竹 勇

厚生労働省の医療安全対策検討会議の報告書「医療安全推進総合対策〜医療事故を未然に防止するために」により、平成14年10月から全ての病院、有床診療所に安全管理体制を義務づけるとともに、相談窓口・相談センター設置に必要な予算を平成15年度予算案に盛り込んだ。これを受けて、各医療機関は「医療安全管理体制」の策定により前向きに取り組むこととなった。

厚生労働省が4月下旬にまとめた大学病院など全国82の特定医療機能病院での医療事故は、2000年4月から2002年2月までの約2年間に15003件も発生し、そのうち387件が患者の死亡や重態などの重篤に至ったと報告されている。

人・物が整備されている高度医療機関において平均4日に1回の割合で医療事故が発生していることになる。

宏仁会小川病院・宏仁クリニック・東松山宏仁クリニックにおける「医療事故を防止し、安全かつ適切な医療の提供体制を確立する」目的のために必要な事項を定めた、「医療安全管理規程」を策定し、本年4月から病院全体で取り組んでいるところです。

安全管理委員会委員及びリスクマネージメント部会委員は下記のとおり選任されておりますので改めて報告致します。

1.安全管理委員会委員

宏仁会小川病院院長
宏仁クリニック院長
東松山宏仁クリニック院長
宏仁会小川病院婦長
宏仁会小川病院事務長 吉田 哲(委員長)
冨田 哲也
吉川 康行
近重 百合子
徳竹 勇

以上5名にて構成

2.リスクマネージメント部会委員

宏仁会小川病院

宏仁クリニック
東松山宏仁クリニック 山崎 美子(リーダー兼任)
菅原 貞子(サブリーダー兼任)
田野風 正広
屋代 茂子

以上4名にて構成



院内安全対策委員会発足にあたって

◇宏仁会小川病院 院長 吉田 哲

院内安全対策委員会は、上部委員会に各施設の院長、婦長および事務長5名からなる医療安全管理委員会と、その下部委員会として各施設のスタッフの中から任命されるリスクマネージャー計4名からなるリスクマネージメント部会の二つから成る。

医療安全管理委員会の重要性はいうまでも無いが、リスクマネージメント部会の役割は前者にくらべ勝るとも劣らず重要である。共に、普段の医療行為の中で、医療事故を防止し、安全かつ適切な医療体制を確立するために設けられ たものである。

リスクマネージメント部会では、職員にヒヤリ・ハットの事例報告書を提出するように、その意義を啓蒙し、出てきた報告書の内容を検討し、またその対策案を作成して医療安全管理委員会へ報告することになる。医療安全管理委員会は、この報告書を受けて、コメントや指示を行うこと、また「事故報告書」に基づき発生した事故に速やかに対応することが求められる。

ヒヤリ・ハットの事例報告書の内容は、普段の医療行為の中で、ヒヤットしたあるいはハットしたようなもので、しかも未然にそのミスに気付き、事故を防ぐことのできた内容についての報告書である。気付かずに患者に何らかの影 響を与えた場合には「事故」であり、このような時に書かれる事故報告書とは明らかに異なるものである。

事故はほんの小さなミスから起こり、重大事故はそれら小さなミスを含めた事故群の「氷山の一角」でしかないといわれる。医療関係者は常に事故の発生やその再発予防のために過去の事故から多くの教訓を得て、安全対策の改善に努める作業を続けなくてはならない。

その第一歩として、ヒヤリ・ハットの事例をお互いに出しあうことにしよう。リスクマネージャーは、このヒヤリ・ハット事例報告書を出すように皆さんに絶えず働きかけると思います。互い協力して事故防止に努めよう。



ちょっとひとこと

◇基本が大切
  宏仁会小川病院 用度課 小松崎 満

何を始めるにあたっても基本から始まる。仕事、スポーツ、あらゆる事。先ずは基本からである。運転にあっても、教習所にてまず指導員の人から基本を教えてもらう。教習所を卒業して運転免許を手にし、自分なりの運転ができるようになると基本を忘れて、自分流の運転になってくる。怖いのはこの時からである。これくらいはいいだろうの違反が始まる。この時に初心に戻り基本を振り返ってみて違反をしないように。事故をおこしては自分だけではなく他人に迷惑がかかるということを良く認識して運転をするようにしたい。

仕事も始業時、初心に返って基本を思い出し仕事に取り組む。一に段取り、ニに仕事。昔の人はいい事を言いました。



接遇について

◇接遇について
  宏仁会小川病院 病棟看護師 中里 留美子

私達は、つい忙しくなると業務に流されがちなところがあります。患者さんとの対応について気を付けなくてはと思う場面 が幾度かあると思います。私も含め、患者さんの立場を思いやれず、手早く正確に業務をこなす事を優先して しまうことはないでしようか。

このような時、患者さんと看護者の関係から一歩離れた客観的な立場で考える事が必要ではないかと思います。患者さんは、病気のために気が弱くなり、病気に対して前向きになれず、あるいは病気に対して色々な不安を抱き、様々 な心理状態で入院生活を送っています。

私たち看護者は、日々の業務を事故のないように遂行する事は勿論ですが、精神的な援助を含めた患者さんへの良い接遇が患者と看護者との信頼関係をうまく築き上げることができ、確実に医療効果 を上げられるものと考えます。良 い接遇は、先生方が直接良い治療を行うことと同じように大切なことと思います。



水の記憶

◇水の記憶
  宏仁会小川病院 医療情報部 石井 浩美

私の生まれた大根占という町は、鹿児島県の最南端に近い錦江湾沿いの人口1万人に満たない、小さな町です。正面 には、砂風呂で有名な指宿の町が見え、夕方には、薩摩富士と呼ばれる開聞岳に沈む真っ赤な夕日は、感動的に美しく、天気が良ければ遠くに種子島が望め、ロケットの打ち上げの際は、真っ白い線が一直線に空高く伸びて行くのが見えました。

私が小学生当時、学校にプールはなく、夏の水泳の授業は、学校のすぐ下の海で行われました。当時の海は今より格段に澄んでいて、波打ち際にはいろんな貝殻が打上げられ、すぐ近くをアジやキス、原色の熱帯魚が泳ぎ、砂を掘り起こすとカニやカメ(と言っていたが、確かな記憶ではないような気がします)が慌てて逃げ出し、それを友達と競って捕まえていました。

そんな環境で育ったせいもあるのでしょうが、私は泳ぐこと、というか水の中に自分の体を置くことに安心感を憶え、幸せを感じます。水の中で様々に反射して見える太陽の光は、現実社会から一時離してくれる感じがし、耳に感じる音は、自分を水中の生き物であるような感覚にさせてくれます。気分転換と日頃の運動不足の解消にと通 い始めたプールで、何も考えず、ゆっくりと約1時間(2Km程度)泳ぐと筋肉は疲労を訴えますが、苦痛ではなく、ストレスの解消になります。日頃ストレスを感じている方、四十肩、五十肩で悩んでいる方、水の力を借りてみませんか?



日本睡眠学会第27回定期学術集会に出席して

◇日本睡眠学会第27回定期学術集会に出席して
  宏仁会小川病院 透析技士主任 藤原 学

一日目7月3日(水)、朝8時20分自宅を出発、途中川越で吉田院長、吉田さんと合流、10時20分大宮発の新幹線で仙台へ向かった。ホテルで食事をとり13時30分から始まるプレコングレスシンポジウムに出席する為東北大学・青葉記念会館へ。

「オレキシンの基礎と臨床」「睡眠呼吸障害検査の現状と問題点」という二つのメインテーマに対し、各八つのパートを英語の講演を含めて聞く。

一部では「ヒポクレチン/オレキシン機構の神経伝達障害がナルコレプシーの病因、病態生理に関わっている。」「オレキシンシステムの欠損がナルコレプシーを引き起こす。そのニューロンレベルでの解析が急務である。」といった難演題が延々と続き、少々バテル。

二部の検査関連では、少しは聞きかじった内容も増えて来て興味有るところだった。吉田院長もご発言をされていた。この1日目は、13時30分〜19時30分までびっしりという内容だった。

2日目の4日(木)は、朝8時45分まで会場である仙台国際センターに入り、早速一般 演題を聞く。睡眠学会へは初めて同道させて頂いたが、透析医学会をコンパクトにしたような感じで、口演の会場が2つ、ポスター・機器展示会場があり、午前中の口演の後は、ランチョンセミナー、特別 講演、シンポジウムなどが続き、文字通り目白押しといったところだ。

一般演題では、今度の透析医学会で吉田さんが発表するテーマに関連した演題を二つの会場を行き来しながら聞き歩いた。「合併症関連・心拍変動・透析患者の睡眠障害」がその主なところ。

12時からランチョンセミナー「睡眠薬の作用機序と臨床応用」を聞く。薬剤は全て一般 名で出ており何の薬なのか検討がつかない。吉田院長も「もう少し商品名も加えてくれれば解り易いのに」と言っておられた。

その後は、総会、特別講演と続くが講演が英語の為二つをパスし、吉田院長のおごりで近くにある宮城県美術館へ足を運ぶ。自分は絵を解せる人間ではないので形容しずらいが、何か響くものがある。美術館巡りというのも魅力である。その後、院長と吉田さんはシンポジウムを聞きに会場へ、私は吉田さんが持ってきたスライド原稿の検討の為ホテルへ戻る。後から吉田さんから聞いたら案の定シンポジウム「睡眠と生体リズム」は難解を極めるものだったとの事。

19時から3人で申し込んでおいた懇親会へ出席。乾杯まで約1時間近く日本を代表するであろう先生方や来賓のご挨拶を賜る。21時過ぎ会場を後に“カクテルでも”という院長のお誘いを受け30階建てのビルにある夜景の見えるラウンジへ。院長はしきりと青いカクテルにこだわっておられたが、結局「神風」という勇ましくて透明なカクテルにされた。

3日目5日(金)も朝8時45分まで会場へ入り、一般演題を聞く。「レストレスレッグス症候群における脳脊髄液中の鉄、フェリチン、トランスフェリン値の異常、睡眠障害にカルシトニンが有効である可能性があるとする発表、過眠症患者に対するMLST(睡眠潜時反復検査)の有用性」など。会場で坂本先生と合流。

12時からランチョンセミナー「診療所方式による睡眠障害専門医療の試み-その現状と問題点-」を聞く。この後、会場を出、4人で遅い昼食をとった。談笑しながらの楽しい食事だった。昼食後、坂本先生は会場へ帰られ、3人は帰路についた。

来る20日(土)の透析医学会発表の為にも実りのあるものだったと思う。機会を与えて頂いたことに対し感謝いたします。


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